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『それで仕事というのは?』
『今度の企画の商品のアイデア出しの会議をしたいのだよ。ほら、斉藤君もいるしちょうどいい。そこの会議室で会議をしよう』
「これは?」
「この部長。大の会議好きのようですね。何の進展もない会議を延々と三時間ほどやって開始五分で出た結論に収まることが多い会議を開くタイプです。会議をすることが仕事だと思っている人ですね」
「これは、係長も顔が引きつっている。まだ自分の仕事が終わっていないのに。まさかの会議に呼び出されるとは、おっと後藤選手。ここで係長にアイコンタクトだ」
『じゃあ、私が書記をやりますよ』
「書記を自ら名乗り出ることで会議の主導権を握ろうということですね。斉藤係長にはアイコンタクトでこの会議は不毛だから早く終わらせようという意味のアイコンタクトです。これは係長も同じ気持ちなので有効ですね」
「三人は会議室に移動しました。ホワイトボードの前に後藤選手が立ちましたね」
『では、いいアイデアを出してくれたまえ』
「自分ではアイデアは出さないという宣言とともに会議を進めろという宣言ですね」
「後藤選手さまざまなアイデアを出してはホワイトボードに書いていきますが、部長はどれもこれも気に入らないようですね」
「気に入らにというよりはただいちゃもんをつけて会議を伸ばしたいだけですからね」
「これには斉藤係長も後藤選手もうんざり顔だー。これはかなり厳しい状況ですね」
「確かにここからの逆転は難しいでしょうね」
「おや、部長の携帯が鳴っていますね」
『おお。但馬か。どうした。ん? 今日? 飲みに? おお。そうか』
「これは誰からでしょう」
「部長の同期の但馬専務のようですね」
「部長の電話が終わったようですよ。わざとらしく咳をしていますね」
『ふむ。今日はここまでにしようか。また次回いいアイデアがあったら打ち上げてくれたまえ』
「部長がそそくさと立ち去っていきますね。これはラッキーです。係長も疲れたのか今日はもう帰りたいという表情をしていますね。この隙をみて後藤選手は係長に頭を下げて帰ろうとしています。係長も手を振って帰っていいとアピールしています」
「部長との会議は体力を奪いますからね仕方ないでしょう」
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