踏切

平凡

踏切の前につき、憂鬱に思った。

つまらないな。別に仕事が嫌な訳じゃないんだけど。

なんか急展開な出来事でもあればいいなとか思ってる。

例えば、同僚の女の子から急に仕事終わりに呼び出されて、付き合ってください！とか言われたらもう最高だよな。

まあ、付き合うっていうかヤって無理だったら捨てるけど。

セフレとかだったら一番最高なんだけど。

だって、恋愛感情湧かねえんだもんな。
仕方がないよ。

目の前に電車が通る。
ガタンガタンと音を立て、電車と電車の連結部分が鳴っているのか、線路と鉄の車輪が擦れて鳴っているのか分からないがキーｯという音が耳に入る。

電車の先頭が通り過ぎてから勢いよく風が吹く。
風が僕の髪の毛を荒らして去ってゆく。

遮断桿(しゃだんかん)が上がり、立ち止まっていた人が次々と歩き出す。

僕は、荒された髪の毛を手で適当に直しながら他の人と同じように踏切を歩く。