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何も無い。ただの空間だけが何処までも続いており宇宙より広いのでは?と錯覚してしまうようなそんな空間。
そんな空間に突如として光輝く物体が産み出された。物体は丸い球体のような形を歪ませると、一瞬にして人へと姿を変えた。
美しく腰辺りまで伸ばした金色の髪。
美人なんて言葉では足りないほど整った顔。
背は高く、出てるとこは出て引っ込んでるとこは引っ込んでおり、世界中の女性が嫉妬するんじゃ無いか思わせるパーフェクトなボディ。
ここまでなら、「え?なにこのスーパー美人さん。」で終わるのだが彼女は普通ではなかった。
一つ目は服装。彼女はギリシャ神話等に出てくるオリンポスの神々が来ている白い布を纏っていること。
二つ目は背中。そこには天使の如く白い翼が生えていること。
三つ目は頭部。頭の上に黄金の輪っかが浮いていること。
この3つが彼女が普通ではないと強調していた。
「..ふう。なんとか間に合いましたか。」
声も透き通っており何時までも聞いておきたい。そう感じてしまう。
「すいません。って今の貴方にはこの声は聞こえないでしょうが、どうか謝らせてください。」
誰に?など分からない。だが彼女の流す一筋の涙が心からそう言っていると物語っていた。
「せめて、貴方が彼方の世界で幸せに成れるよう祈りを捧げます。どうか..神を恨まないで」
胸の前で手を組み合わせ目をつぶり祈る。
この祈りが彼女の言う「貴方」にどんな影響を及ぼすのか。
それは、「幸運の女神」である彼女ですらわからない。
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