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智也の母はパタパタと手を仰ぎ「とんでもないわ」
と口にした。
「やっぱり未成年ですからね。あまりいい気はしない。
それに、私も生活安全課の署員だから。教えてくれて
ありがとう。大切な事だから」
そういえば、智也の母は専門分野だったと奈々は
思い出す。母親が生活安全課の警官なのに、大学生と
付き合うとはなかなかの度胸だと、奈々は少し関心した。
今度はまた別の意味があり気なため息を、智也の母は落とした。
そして、フワフワのパンケーキを頬張る。
「私はさ、奈々ちゃんと智也が付き合ってると思って
た。お似合いだと思ってたんだけどな」
その言葉に奈々は思わず「えぇっ」と、少し声をあげた。
奈々は両手の手のひらを見せ、小刻みに振る。
「いえ、違います」
橋口は智也の母の隣で頷く。
「俺も」
奈々は苦い表情になり、髪の毛を触る。
「いや、それは偉い誤解です。違います」
複雑な心境だった。
(何でそう思われるんだろう)
奈々は今の所、パンケーキの事で頭がいっぱいだ。
スポンジに洗剤をつけ、皿を洗い始めた。
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