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その後、智也が由奈とはどうなったのか智也の母が
来店しても、特に問わずにいた。智也の母も何も言わなかった。
話したくないのかもしれない。奈々としても唯としても、
それを察し、特に聞かない。変わった事があったと言えば、
奈々と唯の父が少しだけ、東京に滞在する期間が延びた
事だった。
奈々は結局メレンゲに何を入れられたのか、その動機は何か
問いただせずに日々が過ぎて行った。
ホワイトデーが終わった頃、奈々の高校も短縮授業に
なった。もうすぐ春休みが始まるからだった。奈々は学校が
終わり昼食を食べ終えてから、店に出てパンケーキを
焼いた。
そんな忙しい平凡な日常を過ごしている時だった。
この日は十七時以降、スフレ風パンケーキの予約は
入っていなかった。
男性入店タイムの時間。由奈が訪れた。そして
一緒に訪れた相手は奈々と唯の父だった。
店内には不幸中の幸い、客は誰もいなかった。唯も奈々も
硬直して二人を見た。
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