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 この場をどう取り繕うかと、奈々は逡巡した。奈々は 笑顔を由奈に向けた。 「スフレ風パンケーキはいかがですか?」  姉の問いに由奈は戸惑いを感じているようだった。 由奈が注文したのは、春色のパンケーキだ。スフレ風 ではない。 「え、あの……」  由奈は躊躇しながら唯と奈々に視線を向ける。 「でも予約してないんです。出来ない……ですよね?」  すると、唯は優しい顔でかぶりを振った。 「今日はこの時間は予約が入っていないんです。もし よければお作り出来ます。あ、でも春色パンケーキの方が お好みでしたら、勿論そちらを用意致します」  すると由奈は嬉しそうに目を細めた。改めて奈々は 実感する。 (絶対この人は悪い人ではない)  由奈は少し視線を落とした後、再び上げた。 「じゃぁ、宜しくお願いします。多分、ここに来れるのは 今日で最後なので……だから食べたいです」
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