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水を飲みながら父は少し苦笑いして口を開く。
「店の前でぼんやりしてたから、父さんから声を
かけたんだ。男性入店タイムだったからな。そんな時、
入る相手がいないのなら、同行しましょうかと声をかけた。
よっぽどここのパンケーキが食いたいと思ってね」
父の言葉に納得した。何だかんだと言い、由奈はここの
パンケーキが好きなのだろう。
唯が頭を下げる。
「そう。来店してくれてありがとうございます」
由奈は悲しそうな笑みを見せた。唇を先程から
動かそうとする。何か言いたいのだろう。
そしてやっとの思いで、由奈は口を開く。
「ごめんなさい。私お二人に謝りたくて。
メレンゲにお水入れたの、私なんです」
やっぱり。と奈々は思った。それは言われなくても
大体が想像がついた。由奈は沈んだ顔で続ける。
「私ね、貴女が羨ましかったの」
奈々は目を瞬かせ、頓狂な声が出た。
「わ、私がですか?」
(一体私の何が羨ましいのだろう)
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