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奈々がきょとんと首を傾げていると、由奈は
奈々の顔をジッと見つめた。
「なるほど、貴女には魅力があるわ」
突然褒められて奈々は困惑する。そんな中傍らで
唯がニヤッと笑んで、問う。
「もしかして智也君の好きな子は、この子とか?」
姉は奈々の方を指さした。奈々は何か冷たいものが
身体に走った気がした。どうしていいのか分からなかった。
ボウルを動かす手が静止する。
「それは私にも分からない。でもそうかもしれない。
だって智也君ってば、この子とパンケーキの話ばっかり
するんだもん。だからどんなおいしいパンケーキを作る
のかなぁと思って」
その言葉奈々は胸を撫でおろす。
(なんだ、智也君がお目当てなのは、私じゃなく
パンケーキ。良かった)
「智也君のお母さんはすごく、パンケーキが好きですからね。
息子さんも似たんじゃありません?」
奈々は卵白をもう一つのボウルに投入しながら
答えた。
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