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 由奈は頬杖をついて、水を飲んだ。 「智也君ももうすぐ転校するしね。私も実はアメリカに 留学する事になって。お互いもうお別れ。だから期間限定の 付き合いだったの」  その発した言葉に、唯も奈々も「えぇっ」と驚きの 声を上げた。姉妹揃って驚いたので、今度は由奈が驚く。 「あ、あら、知らなかった?だって貴女、智也君と 同じ学校なんでしょう?」  奈々は目を瞬く。そういう話は噂でも聞いた事がない。 奈々は正直に答えた。 「いえ、知りませんでした。私と智也君は学科が 違うんですよ。私は食物調理科。あの子は普通科で。 普段、話もしないものですから」  由奈はふぅん。と鼻を鳴らしながら鉄板を カウンター席から眺めている。そして首を傾げた。 不思議そうな顔をする。腑に落ちないような、納得しない 出来ないようなそんな顔だ。  それよりも、由奈の留学も奈々にとっては ショックだった。 「由奈さん。それより、由奈さんが居なくなっちゃうの 寂しいです!」
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