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由奈は意外そうな顔で、奈々を見る。
「え?」
てっきり、奈々に嫌われたと思っていたようだ。しかし
唯も寂しそうに眉を八の字にして、静かに頷く。
「私、意地悪したのに……ごめんね」
「それは由奈さんが、私と智也君の仲を誤解してた
からですよね?もう、良いんですよ。理由が分かって
ホッとしましたから。それにパンケーキを食べている
由奈さん、幸せそうでした。その笑顔が私達にとって
最高のご馳走です」
由奈は最後の下りについては、意表をついたらしい。
何度も目を瞬いて、驚いた顔で姉妹を見る。
「ほう、奈々は良いこと言うね。しかし青春ってもんは
良いもんだねぇ」
父はしみじみと語り、唯が淹れたコーヒーに
口をつけた。そんな中、傍らえ唯が由奈に尋ねる。
「あの、智也君も引っ越すんですか?」
由奈も温かいミルクティを啜りながら頷く。
「そうよ。あきるの市へ。お父さんとお母さんが、
駐在所に勤務する事になったんですって」
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