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 駐在所といえば、警察官が住まいと 職場を兼ねてそこへ従事する。仕事の内容としては 交番勤務の警官と同じだ。 「そうなんですか……」  奈々は由奈の話に耳を傾けながら、白い皿に パンケーキを持った。そしてトッピングをする。 「うん。貴女が知らなかったのは、ちょっと 驚いた」 「えぇ。だって学校ではほとんど、喋らないです からねぇ」  奈々の言葉に本当に由奈は、智也と奈々は無関係だった。 付き合っていなかったと納得したらしい。 「そう」  少し拍子抜けした顔で、奈々がカウンター越しに 手渡したパンケーキを受け取る。  父の前には唯がパンケーキを置いた。 「さて、旨そうだな、こりゃ」      父は傍らで、娘の会話に黙って耳を傾けていた。 どうやら父は、娘の男女交際には寛容らしい。理解のある 父だった。そんな父は、由奈に視線を遣る。 「ここで食べるのが最後なのは寂しいね。 またアメリカから帰ってきたら来てやってくれるかね?」
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