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 翌日。  店は定休日だった。  奈々は学校から帰って来ると、御使いを頼まれ スーパーへ出向いた。今日は姉妹で夕飯を作る事になった。 母はまだ仕事から帰って来ていない。  天津飯と野菜スープを作ろうという事になった。 タマゴや野菜を購入した袋を提げ、帰路を辿る。  商店街を歩いているとコロッケや串カツの良い匂いが 鼻につき、奈々は誘惑に負けてしまった。ついつい エビの串揚げを購入してしまった。 (あぁ、買っちゃったなぁ)  袋の中を見て苦笑いをしながら、北本通りを歩いて行く。  家の前に到着した時だった。智也と智也の両親が 店の前に立っていた。 「あぁ、そっか。今日、定休日だったんだわ。すっかり 忘れてた」 「そうか、俺、長らく食ってなかったから食べたかったなぁ」  智也の両親の残念そうな声が聞こえた。 智也は押し黙り、別の方角を向いていた。何となく寂しそう にも見え、早く帰りたいようにも見える。そわそわしていた。
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