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 しかし、智也の父は戸惑いながら問う。 「でも、今日定休日なんでしょう?本当に大丈夫?」  確かめるように、念を押すような聞き方だった。 こういう所は刑事ならではかもしれない。  奈々は手で店の中を指し、中へどうぞと 促す。 「えぇ。せっかくですから。大したものは 出来ないかもしれませんが」  姉も嫌な顔一つせずに、快く引き受けてくれた。  といっても今日は定休日。材料は明日のあさイチで 色々届く予定だ。大したものは出来ないかもしれない。  唯は珈琲の在庫を確かめた。 なんせ、ドリンクは珈琲を注文する客が多いので 珈琲を切らしていた。唯は言う。 「ごめんなさい。紅茶でもいいですか?」  勿論と、三人は大きく頷いた。智也の母は 手のひらを見せながら遠慮がちに口にした。 「私、紅茶大好きです。本当、気を使ってもらって ごめんなさいね」  智也の父は智也に尋ねる。 「お前も紅茶でいいよな?」  智也は父の問いに思いっきり無言で再度、頷いた。
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