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智也の母はおずおずと尋ねる。
「今日はスフレ風パンケーキはないわよね?」
それには、唯が優しい笑みを向けながら答える。
「出来ますよ。少々お時間頂きますが……」
すると智也の母の顔が少し、華やいだように見えた。
「じゃぁ、それ」
智也の父は何だ何だ?と、メニュー表を見る。
そういえば、智也の父はまだスフレ風パンケーキを知らない。
警察学校の教官として、臨時で呼ばれていたので
長らくここへ来ていなかった。
「何?そんなのが出来たの?」
「えぇ。新商品なんです。卵白を泡立ててからじっくり
焼くので少々、時間がかかるんですけどね」
奈々の言葉にへぇ!と智也の父は、物珍し気に
声を出した。
「じゃぁ、それを頂こう」
「かしこまりました」
姉妹の声がハモった。
しかし、智也はメニュー表を見て眉を顰めている。
なかなかメニューが決まらない。
母親が息子に促した。
「智也、早く決めなさい」
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