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「一年、俺はこっちで暮らす事にしたんだ。
どうせ大学は23区内の大学に行くつもりだったし」
奈々はパチパチと目を瞬かせた。未だ信じられない現実に
驚いていた。思考が追い付かない。
「そ、そう。浅草のタワマンで一人で暮らすの?」
それはちょっと羨ましい。高校生がタワマンで一人
暮らしなんて聞いた事がない。しかし、智也はかぶりを
振った。
「それは親が許さなかった」
「そう。じゃぁ、浅草のおばあちゃんちに
住むの?」
「いや、ちょっと気を使うしそれは嫌だな。伯父さんが
病院やってるんだけどさ。伯父さん一家も出入りするから
何となく申し訳ないし」
「じゃぁ、下宿?」
すると智也は思い切り頷いた。
「そうなるな。親が、下宿屋探してる。まぁ、あと一年宜しく」
智也はそれだけ言うと、踵を返し去って行った。
奈々は突然の展開に驚き、呆けた顔をしていた。
(そっか,下宿。ってかここに何しに来たんだろう?)
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