夢猫

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やがて青白い月の光が部屋を照らし、召使の身体から魚のような、鳥のような、なにかの生き物のような、とにかく目まぐるしく形を変える白い線画がふっと現れ、部屋の中へと悠々と泳ぎだした。  召使の夢が夢の中から外へと抜け出したのだ。部屋の虚空を泳ぐ夢の線画に混じって、我が召使がにこやかにして過ごしている。おそらく楽しい夢なんだろう。我は耳をピクピクさせながら、目まぐるしく形を変える夢を目で追う。  と、夢の形が突如大きくなる。色も赤黒く変わり不気味な姿へと変貌し、召使が悲鳴をあげ、逃げ出した。  まずい。やはり、悪夢に変わってしまったか。  我はすくっと立ちあがり、助けを呼ぶ声なき声をあげた。  悪夢は逃げ回る我が召使を、ひと飲みにしようと口をあけて追う。  たのむ、早く来てくれ!  我は召使と悪夢の間ににすべるように走り、悪夢に向かって我の鋭き爪を降り下ろした。悪夢は我の必殺技を喰らうも、我が召使を喰らうことを諦めていない。  悪夢を喰らうばくよ、まだ来ぬか。  我はイライラしながら、二本足立ちしながら悪夢に攻撃を繰り出す。  ああ、我の思うままに屋敷を散策できるチャンスだったのに……。  
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