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我はやつあたりを兼ねて、悪夢に飛びかかる。
窓の外から、ガラス窓をカーテンのようにすり抜けて、ようやくばくがやって来た。が、なんだか様子が変だ。
何だって? 悪夢が多すぎて、すでに満腹だと!?
ばくにも我の鋭き爪を喰らわしたくなったが、それどころかではない。
我の召使が悪夢に喰われたら、目覚めた時に機嫌損ね、撫でてくれ、や、ご飯くれの催促しても邪険にされてしまうであろう。いや、もっとひどいめにあうかもしれない。ともかく、我は明日の快適なひとときのために、悪夢に攻撃を繰り出す。
悪夢が逃げだした。止めを刺さねば。
扉の隙間から悪夢が部屋から出ていく。我は悪夢を追うため扉を我が通れるくらいまで広げると、ドタドタと階段を下りる。
悪夢が大きくなっていないか? ふうふうと息を切らしながら、我の後を追ってきたばくにたずねる。ばくが喰いきれなかった悪夢の残りとまざったそうだ。
なんだと? これでさっきまで食べていた悪夢の半分のサイズだと!? 我は思わず全身の毛を逆立ててしまった。
……まったく、人間って奴は、何でこうも悪夢を産み出す事柄を、いとも簡単に行うのだか……
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