遺す・声

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遺す・声

言いたい気持ちを何度も飲み込んでしまった僕は いつも嘘ばかり。 好きだ 好きだ 心でしか言えなくて、声には出せず君に毒を盛る。 涙を流してゆっくり絶えていく君を見て 初めて気づく 自分の愚かさ 君が遺した声は こんなにも僕を満たしてくれているのに 僕は君を満たしてあげるどころか 毒を与えすぎていた 目の前にいなくなって ひとりになって やっと気づく 優しくて 軽やかで 甘くて 愛しい 君の声。 こんなにも僕の胸のうちに遺されているのに 君を失うくらいなら 僕がいなくなれば良かった
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