彼も又。

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そんなやり取りをしていると、後ろから物音が聞こえた。 刃引きされた刀を持った男子が振り返ると… 「先生もいらっしゃいましたか。 丁度いいです。 弓道部は剣道部に試合を申し込みます!」 男女含め五人程の生徒が並び、その内の一人の女子が喉を潤している二人を見て言った。 「はいはい。 それじゃ、申込みを確認したから俺が立ち会うけど、ちょっとサッカー部の奴等が起きないから場所を移そう。 後、三十分遅かったら六時半で申請拒否できたのに…お前等狙ってただろ」 「そんな事ありませんよ。 私達、今さっき茶道部に負けたので…ちょっと戦績悪くなってしまって焦っているところです」 「昨年トップの茶道部は、今年も健在かぁ…。 本当、一日に五回以上同じ部に申し込め無くて良かったな」 「……明日こそは茶道部を負かします。 その前に、剣道部ですけどね」 代表で喋っていた女子は、獲物を狩るような視線を男子へと向けた。 「え…先生、俺、ほら連戦だから…拒否できませんか?」 「その前に申請確認したから」 視線を向けられた男子は、今日何回目か分からない無駄な交渉を立ち合いの教師に言うが、教師はバッサリと一言で交渉を終わらせた。 それでも諦めずに交渉をしようと男子は口を開くが、それよりも早く教師が言った。 「んじゃ、さっさと移動して終わらせよう。 俺は帰って録画したドラマを見たいんだ」 「はい。 場所は弓道部の道場でどうですか?」 「あー、うん、まぁ…どこでもいいよ」 男子は諦めた様に女子の提案を受け入れ、場所の移動を開始する。 それから数十分後… 「はぁ…今日はもうヤバイ。 いや、今日ももうヤバイ…俺の体力的な問題でヤバイ。 もういっその事、部長のシゴキを受けた方が楽なんじゃなかろうか」 「負ければ、一時間は申し込みされないシステム使えばいいじゃん」 「わざと負ければ部長のシゴキが拷問に変わりかねないんです…。 でも、そっちの方が体力的に楽な気がしてきました」 そう二人が話しながら倒れている弓道部を放置して道場から移動していると、何やら御淑やかな話し声が聞こえてくる。 「げっ…」 男子は逃げようと踵を返したが、時既に遅し。 進行方向だった角から四名の女子が現れ、男子の存在に気付いた。
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