第3章 ヤブとパンク

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エミは自転車を押し、路地に入った。 ズンズンと進むエミを見て、野良猫たちは逃げ出した。 怒りの表情を隠しきれないでいた。   例によって、案内猫のタローが寄ってくる。 エミはタローの先導を無視し、前へ前へと進んだ。 タローはミャウミャウと叫ぶが、エミに置いて行かれた。 「どういうことよ! これ!」 店先で自転車をいじるサトルに、エミはそう叫んだ。 「何が?」 「またパンクしてる!」 「じゃあ、そこ置いといて」 「置いといてじゃない!!」 「どーしたの?」 「これで何度目だと思ってるの? 4度目だよ!」 「使い方が荒っぽいんだろう」 「違うね。あんたの直し方が悪いんだ!!」 「バカ言え。ちゃんと直したぞ。現に今まで普通に走ってただろ?」 「まともに走ってたの、直してから1週間だけ! それでまたパンクだよ!」 「使い方の問題だろ、走り過ぎなんだよ!」 「あんたが、こっそり家に来て、パンクさせたんじゃないの? こっから近いし」 「そんなわけあるか!」 「パンク修理たくさんすれば、お金儲けられるもんね!」 「変な言いがかりは止めろよ!」 「あんたが一番怪しんだ!」 「証拠あって言ってるのかよ!」 「やってないって証拠あるの?」 「あるよ! 父ちゃん!!」 サトルは店の中に向かってそう叫んだ。
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