第1章

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「……はよーございます」 「おはよう、今日は二度寝しなかったんですね」 「強烈な目覚まし時計があって……今日のレコーディング俺だけ?」 「うん、最短記録出るかも」 「マジで?」 どうやら、歌以外は終わっているらしい。その歌が問題なのだけれど、朝まで一緒にいた当のボーカルからは何も聞かされていなかった。 俺はユートピアというバンドのベースを担当している。現在、ニューシングルの絶賛レコーディング中だ。アップテンポの、ベドバンやモッシュが似合いそうな曲。 レコーディングのときは、ライヴを想像しながら演奏する。最初から突っ走っている。更に激しさは増してゆく。それを、根底で追い打ちをかけながら支える。
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