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携帯の電源が無くなる音で目が覚めた。
バッグ一つで家を出て来たので充電器がない。
着信履歴には祐二からの留守電が7件も入っていた。
だが確めようにももうすぐ携帯が切れそうだ。
迷っているとメイが朝食を知らせにドアをノックする。
「繭さん、朝御飯出来てるから降りて来てね」
ドア越しに声をかける。
「あの・・
貴女、携帯電話とか使ってる?
私の携帯電源が切れそうなの」
繭にしては遠慮がちに聞く。
「有るわよ、ちょと待って」
メイは部屋に入ると繭の携帯を確める。
「スマートフォンね」
大きな机の引き出しを開けた。
「私の携帯まだガラ携なの。
幸彦の携帯がスマートフォンだから・・
あった。
これ、上乗せ式の充電器だから機種は気にしなくていいと思うわ」
そう言って繭に渡した。
「あっ、うち朝はパンだけどご飯が良かったかしら?」
渡された充電器をコンセントに差し込んみながらメイを振り向く。
「バンでいいわ、充電器ありがとう」
繭に礼を言われメイは少し戸惑う。
階下から幸哉の声がした。
「あっ、幸哉が朝御飯の催促だわ。
あの子お腹が空くとうるさいの、階下の右側がキッテンで左が洗面所よ。
歯ブラシとタオルはに鏡の前、分からなかったら声をかけて」
そう付け加え慌ただしく階下に降りて行った。
繭は充電器に携帯を乗せて階下に降りた。
顔を洗ってからキッテンに行くと、ベビーチェアーに幸哉がでんと座っている。
片手にスプーンを握りしきりにメイに何かを言っていた。
メイは手早く食卓にパンやサラダを並べている。
「目玉焼きは堅焼き?それとも半熟?」
繭を見るとそう聞きながらフライパンに卵をふたつ割り入れた。
「堅焼き・・」
「そうなんだ・・私も。
黄身が割れてジュクジュクなのが苦手なのよね」
「うそ、私も。
卵かけご飯なんて最悪よ」
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