繭と祐二

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「それ・・焼きもち?」 繭は少し嬉しそうに聞いた。 「そう・・かも・・知れません。 でも婚約したから急に独占欲がとか・・じゃなく・・」 「嬉しい・・」 「えっ?」 「嬉しいって言ったの・・ これで本当に結婚するって気になれた・・」 「繭・・さん?」 「明日迎え待ってる。 メイさんの家だけど神父さんの家よ。 彼女は神父さんの奥さん、子供だっているわ」 繭は笑いながら祐二の顔を思った。 受話器を置いた頃メイが声をかける。 「繭さん、誰から?」 「私の婚約者・・」 「そうか、携帯電源が無くなってたものね」 「彼・・ 私が自分の知らない人といたり、知らない場所にいると不安だって・・」 「へえー、嬉しい?」 「べつに・・ でも今迄はそんな事一度も言わなかったから・・」 メイは繭の顔を覗く。 少し照れながら嬉しそうにしてる彼女が可愛らしく思えた。 「愛してるって?」 「そんな事・・」 「貴女は?言わないの?」 「だって、愛してるかどうか分からないもの・・」 「だったら試してみたら?」 「どうやって?」 「う~ん、キスしてみるとか・・」 「私から?」 「べつに相手からでもいいけど、させられる?」 「させるって・・ どうやって?」 「焼きもち妬かせるとか」 「それならもう妬かせた・・かな?」 「なら、後は少しだけいつもよりスキンシップを多目にするの」 「無理・・スキンシップなんてしたこと無い・・」 「婚約者なのに?」 「だって、彼が私を15年も好きだったって言ったから・・ 浮気もよそ見もしないって・・女性は私だけって言ったから・・」 「それだけで結婚するって決めたの?」 「なんか勢いで、結婚するなら婿養子よって言ったら、彼が戸惑って結婚?みたいに言うから、結婚する気も無いのに私を好きだと言ったのって・・」 「で、彼が結婚しますって言った訳ね・・」 「早まったかな?って思ったんだけど・・ 今さらあれはとも言えなくて・・ なのに彼、婚約前と私に対する態度が同じで・・」 「で、イライラしながら私の所に来ちゃった訳ね・・」 「そう・・かも・・」
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