大切な宝物

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レオが家で寂しくしていたところに、クルミとシュウが遊びに来た。 クルミ達は、たまにこの部屋にやってくるレオの仲間だ。 しかし、この日はクルミの穏やかでないセリフで始まった。 「ここに居たら殺されてしまう。私たちと一緒に逃げましょう」 それを聞いたレオはその話を笑い飛ばすかのように言う。 「まさか。何言ってるの? そんな事言われても僕はここを出れないし、出たところで生活できない。野垂れ死にするだけだよ」 レオは、この部屋から出たことがない。 ご飯は何もしなくても貰えるし退屈しないように遊び道具もある。 首には立派なリボンもつけてもらっているし、何不自由ない。誰が見ても可愛がられている生活をしている。 しかしそれは少しばかり窮屈な生活でもある。 レオは外で仲間達と気軽に遊び、冒険をしてみたい気持ちはあるが自分が居なくなれば家主は悲しむであろうと考えると、本気で出ようと思ったこともなかった。 「本当なのよ……! 貴方には私たちついているじゃない。安心して来て欲しい」 クルミはそれをわかっていながら尚、説得を試みる。
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