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私はジョニー・ホワイト。人間の姿に変貌して人間同様の日常生活を送れる能力を持った≪特殊≫な兎。
かつて、エステサロンを経営し、仲間と共に肌にタトゥーを入れた人間の歌手を客としてエステに歓迎しながら誘拐・監禁し続けた。彼女達に、タトゥーを肌に入れる事への過ちを徹底的に叩き込み、洗脳しようと試みた。
だが、双子の兄で善良な性格のアンソニーにより、私は故郷、イノセントラビッツの法に基づいて裁かれた。
≪要注意危険≫との判断が下り、私は長期に渡って刑務所での投獄生活を余儀無くされた。
私は諦めない。新たなアリスを探し求める為、脱獄を決意した…。私はまだ理想のアリスに出逢えないまま、この狭い≪箱≫の中に閉じ込められたのだ。警護が5人…いや、5匹就いていたが、そんな奴等を騙すのは容易い事だ…。IQが200もある私は、この力をフル活用して何としてでも次のアリス→獲物。を見つけ出す。このまま引き下がるものか…!!アリス…アリス…私のアリスは何処にいる?
この手で捕まえて、永久に私の手元に置き続けたい、私の言うことが正しい、全てだと思わせてやるさ。さあて…どうやって逃げよう?仲間の二匹の兎はあてにならない。弱虫のブルックリン・トミーは逃げ出して何処にいるやら分からないし、ウィリアム・スタンリーは死んだ。
私一匹でやるしかない。
夜11時。消灯時間はとっくに過ぎていた。私は能力を活かし、私の分身を作り出す。
あっという間にもう一匹の自身が生まれた。姿形そっくりだ。
おまけに口も効ける。
「やあ私よ…」
「やあ…相棒。調子はどうかね?」
「最高さ…。お前さんの目的は説明しなくても分かってる。私自身なのだからね。」
「なら話は早いな。そうと分かれば…」
私達二匹は紅い眼で互いを見つめ、アイコンタクトを取った。
その瞬間、私達は入れ替わった。分身は私に成り済まして途方に暮れ、縞模様の薄汚い囚人服に身を包んで座っていた。
一方私は看守の一匹である熊のゴードン・ゴルディーロックに変身し、自由という特権と、リスクという恐れを抱えて部屋から抜け出したのだ。
熊のゴードン・ゴルディーロックは、私が収監された刑務所で最も恐れられた看守だ。
長年の警察としてのキャリアがあり、措置困難で責任能力すら問われる特別な力を持つ犯罪を犯した動物達を≪保護≫してきた。
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