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息子が「うんちってホントはどこにいくの?」と初雪が降った土曜日の朝、おはようを言わずに聞いてきた。
「どうしたんだ急に」
「うんちは地面からきえちゃうってパパは言ってたけどそれをともだちにはなしたらちがうって」
「どうして?パパは嘘をつかないよ」
「でも、ともだちと見にいったら黒い虫さんがうんちをはこんでた」
ふんころがしのことだろう。確かに。「確かに全部がそうなるわけではないね。嘘だった」
すると突然泣き出してしまった。
「ごめんよ。でもほとんどは見えなくなっちゃうんだ。汚いから」
目をこすりながら私の息子は言った。
「ちていに落ちるの?」
四歳なのによくもまあそんな言葉を知ってるものだ。驚いたな。「友達が教えてくれたの?」
「うん。ともだちにはなしたらそれはちていのせかいに入るんだっていってたの」
「そこには何かいるって?」
「うちゅうじんがたーくさんいるんだって。ホントかな?」
あまりの話のおかしさでコップに牛乳を入れかけていたのが少しこぼれた。「それは悪い人たちだ。注意してあげたらいい」
「でも、うちゅうじんはやさしいよ。しってるもん。うちゅうじんがぼくたちのうんちをたべてくれているんだ。だからうんちがそとにでちゃったときに黒い虫さんがたすけるんだ。ぼくはそうおもうな」
眼が輝いていて違うと言えなかった。
「だったらいっぱいうんちしなきゃね。思いやりを大事にしなさい。はい、牛乳。今から父さん特製のチーズサンドイッチ作るから待ってな」
「うん。でもパパ」
「何?」
「うちゅうじんはドロドロなチーズって好きなのかな?」
顔がゆがまないよう我慢した。だからこう言った。
「ちていのせかいをべとべとにしないくらいにチーズは入れとくから安心して食べな」
「うん!」
嬉しそうな息子の顔を見たのが久しぶりでこっちも思わず笑ってしまった。
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