洋人と拓未。

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防波堤を数メートルしか走っていないのに、異常に暑くて汗が止まらない。 この暑さからも、なんだかよくわからないイライラした気持ちからも早く抜け出したい。 その一心で走るスピードが早くなる。 叫び出したい気持ちを必死で抑えて防波堤を駆け抜けると、うちの舟が停めてある小さい港を超えて国道の歩道へと出る。 この国道を渡って丘を越えれば、すぐ俺の家へと帰る事が出来る。 早く帰って水を浴びて全身を冷やしたい。 そう思いながら車が途切れるのを待っていると向こうの歩道から、空と同じ真っ青のデニムのワンピースが目に入った。 向こうも汗だくで息を切らしている俺に気が付いた様で、歩く速度を早めている。 俺は汗だくな姿を見られるのが恥ずかしくて、国道を行き来している大型トラックの合間をぬって国道を横断すると、気がついていないふりをして急いで家へと続く丘への道を駆け上がった。 「ちょっと、洋人ー!」 ワンピースを着た奈波(ななみ)が俺を国道から呼んでいるが聞こえていたが、頭の中には入ってこなかった。
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