拓未と奈波

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吸い込まれそうな程大きく澄んだ瞳で俺をまっすぐ見つめる。 その眼差しに誤魔化しは不要だと感じてしまう。 「洋人に、この街を出るって言った。」 俺の言葉に奈波は更に目を大きくして驚いたが、すぐに納得したような表情になる。 「あー、そりゃあ洋人傷付くわ。ただでさえ本当のお兄ちゃんたちがこの町出てひとりなのに、親友の拓未までこの町出るってなったら取り残された感半端ないもん。」 奈波は相変わらず投げ出した足をバタバタと動かしていた。 「でもさ、洋人に気を使っていつまでも本当の事を言わないのも変だろ。遅かれ早かれ言わなきゃいけない事なんだから。」 奈波は若干ふくれっ面になりながら、地平線を見ていた目線を俺に向ける。 「そうなんだけどさ。洋人は図体はでっかいけど中身はまだ子どもなんだから、あんまり傷付ける事言わないであげてよ。」 奈波は昔から洋人の肩を持つ。奈波曰く、「洋人は同い年の手のかかる弟」って言ってるけど、実際はそういう気持ちではないと思う。 もっと別な、特別な感情を。 「そういうお前だってさ、この町出るんだろ?」 俺はあえて意地悪な質問を返してしまう。
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