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 しばらくして、隣で一緒に泣いていた与実さんが言いました。 「ねえ、ニャニャフィの毛をちょっとだけもらって、ぬいぐるみ作らない?」  琴さんはその言葉を聞いて泣くのをやめました。  ぬいぐるみ製作に没頭することで、この悲しみを乗り越えようと考えたのです。  さっそくパーツ作りから始めます。  ニャニャフィのしっぽを綺麗に拭いて毛を少し切り取り、それを綿で包むように入れこんで胴体部分を作りました。  もう泣かないと決めたものの、最後に残ったニャニャフィの毛をもう見ることができないと思うと、琴さんの頬に一筋の涙がつたいます。  琴さんはニャニャフィの胴体パーツに、そっとキスしました。  ちょうど涙の粒が唇と胴体の間に挟まれて、一瞬淡く光を放ちましたが、目を瞑っていた琴さんは気がつかなかったようでした。  他のパーツもひとつひとつ丁寧に作っていきます。顔のパーツは、裁縫が得意な与実さんがかわいい猫の刺繍をほどこしてくれました。  何日か作業に没頭し、完成間近となったときです。 「アレ?」  琴さんは愕然としました。  それは猫とはとても思えないような、なんとも形容しがたい物体に仕上がっていたからです。   ―――ちょっとお! 琴ちゃん、何してくれちゃってるんだよねー! って、アレ? ボクなんで意識があるんだよねー?  耳は思いのほか長く、逆にしっぽは丸くて短い。  生まれつきしっぽの短い猫もいますが、ニャニャフィはすらっと長く美しいしっぽを持っていました。  横で見ていた与実さんは、短くため息をつきました。  琴さんは人とはちょっと違う感覚を持っていると感じてはいたものの、できたものがウサギのようになるなんて想像もしていなかったのです。  琴さんが泣きついたので、与実さんが手をいれることになりました。  そのおかげで、なんとかニャニャフィのイメージに近いぬいぐるみが完成したのです。 ―――与実さんがいてくれて、ほんとによかったんだよねー。助かったんだよねー。。。
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