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それからしばらくは平穏な日々になりました。
鈴ちゃんもすくすく育ち、この春、小学校に上がります。この頃の鈴ちゃんはかなりやんちゃなところが目立ち始めていました。
「ママー、ちょっとこうえんいってくる」
「車とか気をつけてー。走りすぎちゃだめよー」
「はーい」
いつものようにニャニャフィを連れて、すぐ近くにある緑地公園にやってきました。
琴さんの言いつけも忘れて、鈴ちゃんは全速力で駆け回ります。
ニャニャフィは右手だけ捕まれ、形だけは手をつないでいるような感じでしたが、たまにぶるんぶるんと振り回されています。
―――鈴ちゃん、なんか危なっかしいんだよねー。これはまた激しく嫌な予感がするんだよねー。。。
「あっ…」
全速力で走る足元、草むらの陰に大きめの石があったことに気づかず、鈴ちゃんは左足を取られてしまいました。
つまずいた瞬間、大きく振り回されていたニャニャフィは空高く投げ出され、遠くまで飛ばされていきます。
―――なんでこうなるんだよねーー!!
どこまで飛ばされたのかはわかりませんが、さっきと同じような草むらに着地しそうです。
それまで瞼を閉じていたニャニャフィでしたが、着地点を確認しようと目を凝らしました。
するとちょうどその場所で、小さなものがかすかに動いているようです。
少しずつ、少しずつ距離が近くなり、だんだんとそれがなんなのかハッキリしてきました。
それは、小さなウサギだったのです。
―――またしてもウサギなんだよねーー!!
ニャニャフィはそのウサギめがけて、一番重い胴体部分からまっすぐに落下していきます。
―――やばいんだよねー! この展開、あの子がボクのTシャツに張りついた「平面ウサギ」にされてしまうんだよねー!! Tシャツ着てないけどねー!!
目測通りウサギの上にぼてっと落ちたニャニャフィは、衝突の瞬間、淡い光が放たれたるのを見ました。
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