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すぐに自分の下敷きになっている地面を確かめます。しかし、ウサギの姿はどこにも見当たりません。
次に自分のお腹辺りを確認しましたが、「平面ウサギ」になって閉じ込められているわけでもないようです。
そして、自分の姿を見ると。
ちょっと耳が長めでしっぽが丸い、またしてもウサギのような姿になっていました。
―――結局、これなんだよねー!!
「ママー、ボクのウーさんどかいっちゃったー」
「ウーさんって、あのちょこちょこ動くおもちゃよね? また買ってあげるから帰りましょ」
「えー。でもあれは『ほりだしもの市』で見つけた『いってんもの』だって、パパが…」
―――よかったんだよねー。あの子は「おもちゃ」だったんだよねー。いや、ちょっと待って。状況はぜんぜんよくなかったんだよねー。。。
前のように与実さんが颯爽と助けに来てくれるかもと、一瞬期待しました。
しかし頼みの与実さんは半年ほど前、急に伴侶を亡くしてしまったことをきっかけに、遠くの実家に戻っていました。
つまり、ニャニャフィを復元してくれる人は、今はもういないのです。
そもそも、かなり遠くまで飛ばされてきてしまったので、鈴ちゃんがうまく見つけてくれるかすら危うい状況です。しかもニャニャフィの姿は変わってしまっていますし。
―――でもきっと、鈴ちゃんと琴ちゃんが助けにきてくれるんだよねー。ボクは信じてるんだよねー。。。
ニャニャフィの願いむなしく、その日の太陽は西の大地に沈んでいきます。
夜になって辺りは真っ暗になりました。そして、しばらくするとまた太陽が昇ってきます。
翌日はたくさん雨が降りました。やっと雨が上がったとき、一羽のカラスがニャニャフィの頭や体をつついてきます。
そんな風に過ごしながら、何度目かの沈み行く太陽を見送ったときでした。
「見つけた、ニャニャフィ!」
琴さんがニャニャフィの体を抱き上げました。
泥だらけの上、あちこち綿も見えていて満身創痍です。
後ろから鈴ちゃんがかけてきて、弾む息のままニャニャフィをぎゅっと抱きしめました。
「ごめんね、ごめんね。ニャニャフィ」
―――ありがとだよねー。琴ちゃんと鈴ちゃんは、やっぱりボクのことを見つけてくれたんだよねー。
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