黒猫のジンクス

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それは、12月に入って最初の月曜日の事だった。 私は毎日、定刻通りに登校する。 そして、教室のドアを開ける前に、決まってやることがある。 カバンの中から、小さくて、古い手鏡を出す。 そして、今日も呟く。 「咲子、今日も貴女は可愛いわ」 鏡の中の自分に、そう唱えると、不思議な事に、その顔に変化が現れた。 腫れぼったい瞼が、キリリと凛々しく流れ。 ただ白い頬に、ほのかに赤みがかすと、潤んだ唇が、鮮やかに微笑む。 全身を優しくつつむ朝の香りを纏って、艶やかな黒髪を手で梳けば、流水のように指を通っていった。 写し出された鏡の咲子をカバンにしまうと、絶世の美女は意気揚々と教室のドアに手を掛け、思うのだった。 この鏡には、新月の日、雲一つ無い星空を映し、神聖な夜の力を閉じ込めてあるの。 そう、おまじない、の力を。
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