黒猫のジンクス

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「皆、おはよう」 「おっはよー」 「あ、咲子さん、おはよう」 「お、おはようございます」 「今日も、素敵です。咲子さん」 「咲子さん、おはようございます」 「咲子、今日もイケてるぜ」 クラスの女子も男子も、皆が敬う。 自分で言うのもなんだけど。 私は、クラスで、いや、この学校で一番、可愛くてモテるの。 オホホホホ。 楽しい。 全ては、おまじない、の力。 「おはよー、さっちゃん」 「はい、おはよー…、って誰!?」 私は驚いたのだ。 今、私に愛想良く挨拶をくれた、少女。こ、この娘はっ!? 校則ギリギリの明るい栗色の髪を、フワッと揺らして、恥ずかしげに微笑む、パッチリ二重の大きな瞳。 小柄の割に、高く見える身長は、その小顔のせいね、モデルみたい。 なにしろ、可愛い。 私、よりも…。 「ってか、百子?、百子じゃないの!?」 せ、説明しよう。百子とは、私と仲の良い友達の名前だ。席も隣同士、趣味が合うし、その、並ぶと引き立ててくれるしで、よく連んで遊ぶ。 そう、引き立て役だけって訳じゃないけど、なにしろ存在感のある娘、ぶっちゃけ、ぽっちゃり系なのだが。 だが…。 今は太っていない。 百子は誰が観てもぽっちゃり系のはずだった。確かに先週までは。
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