猫紳士と猫のしっぽ

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彼は、病気で苦しむ彼女も、変わっていく自分に苦しむ彼女も見続けていたのだ。 彼女に言葉で切り裂かれ続けても、ずっとそばにいて、私に繰り返し彼女は優しい人だと言い続けた。 私の方が胸が張り裂けそうで、涙がぼろぼろ溢れて前が見えない。 ラグドールに気づかれないよう、声を押し殺すのが精一杯だ。 「泣かれると困るよ」 私の努力も虚しく、あっさり看破されてしまった。 「ラグドールも泣けばいいじゃない」 「僕は猫だからね」 そう言って、ラグドールはそっぽを向いてしまった。 そうやって、私が泣き止むまで傍に居てくれたのだった。
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