4人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
彼は、病気で苦しむ彼女も、変わっていく自分に苦しむ彼女も見続けていたのだ。
彼女に言葉で切り裂かれ続けても、ずっとそばにいて、私に繰り返し彼女は優しい人だと言い続けた。
私の方が胸が張り裂けそうで、涙がぼろぼろ溢れて前が見えない。
ラグドールに気づかれないよう、声を押し殺すのが精一杯だ。
「泣かれると困るよ」
私の努力も虚しく、あっさり看破されてしまった。
「ラグドールも泣けばいいじゃない」
「僕は猫だからね」
そう言って、ラグドールはそっぽを向いてしまった。
そうやって、私が泣き止むまで傍に居てくれたのだった。
最初のコメントを投稿しよう!