猫紳士と猫のしっぽ

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引っ越してきてまだ3時間くらいしか経っていないが、私はこの街をとても気に入っている。 安い値段にしては小綺麗な宿部屋も、窓から見える意外と広い空も、その下に広がる石畳とレンガで造られた街並みからツンツンと教会の屋根が飛び出しているのもーーー 未だに部屋の中には荷解きも進んでいない荷物が転がっているけれど、大して多くないから大丈夫だろう。 どうせ今日しか泊らない。 それよりも先に、パン屋で買ったばかりのサンドイッチを食べるほうが重要だ。パンに挟まったオムレツはまだアツアツで、頬張るととろりと溶けた卵が口に広がる。 下からはどうせ見えやしないだろうと、お行儀が悪いけれど、窓枠に腰かけて景色を見ながら食べていた。 でも、真下の通りから、シルクハットを被った紳士がこちらに顔を向けた気がした。 なんだか急に恥ずかしくなって、窓から降りようとした時だ。
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