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「他人の幸せの手伝いなんかやだ!! あたしも幸せになりたいの!!」
「僻みはやめて下さい。……まったく。神様が人間に嫉妬してどうするんですか」
「うるさい! 神様だって嫉妬くらいするのよ!」
残念なことに、テレビのワイドショーを見ながらいちいちツッコミを入れる主婦のように、口を開けばつらつらと文句ばかりを垂れているこの捻くれた性格の女こそ、数百年続く由緒正しき恋結神社の神様である、第22代目"結神(ゆいがみ)様"なのである。
ちなみに、あくせくと働く真面目そうな男は彼女の部下だ。
「でもさぁ、ぶっちゃけ縁結びの神様がフリーってどうなの? 彼氏も旦那も好きな人もいないんだよヤバくない? これじゃ結神様じゃなくてお一人様だっつーの!! ……って上手くねーよ虚しいだけだわこんな一人ノリツッコミ!!」
「お願いですからそれ他で言わないで下さいよ。神社の評判が落ちるんで」
「おいそれどういう意味だコラ」
部下は盛大な溜め息をついた。
「ほら、さっさと仕事して下さい。次のお客さんですよ」
結神は不満そうに「えー」と唇を尖らせる。
突き刺すような部下の視線に渋々と起き上がった結神は、賽銭箱の前で手を合わせている女性を面倒臭そうに一瞥した。
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