第1章

8/16
前へ
/16ページ
次へ
バスは毎朝超満員。 俺もギューギューに押しつぶされて、正直これが1番嫌だ。 そんな時、バスを降りようと彼女が降車口に向かったら、カバンが誰かの荷物とぶつかった。 その瞬間、とっさに俺は彼女のカバンから飛び降りる。 こんなに混んでいるんだから、踏まれたら痛いだろうなと思ったけれど、たぶん大丈夫だろう。 なぜなら、あいつがこちらを見ていたから。 案の定、あいつはすかさず俺を拾い上げた。そして、しばらく動かない。 おいおい、何してるんだよ。 彼女はバスを降りたんだぞ。 お前も早く降りないと、バスが発車しちゃうだろうが! 俺の声が聞こえたのか、あいつはギュッと俺、つまりはストラップを握りしめてバスを降りる。 そのまま彼女のそばまで走っていき、 「あの、これを落としませんでしたか?」と声をかけた。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加