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彼女は驚いて振り向き、あいつの顔を見てから手のひらに乗せられたストラップを見る。
「あ、これ、私のです」
彼女が小さな声で答えた。
「やっぱり!よかったー。違ったらどうしようかと思った」
あいつが照れたように耳の後ろをさすりながら笑う。
そして、手のひらをぐっと彼女の方に突き出した。
彼女はそっと俺をつまみ上げる。
「ありがとうございます。これ、友達にもらった大切なものなんです。本当にありがとうございました」
彼女は笑顔でお礼を言うと、深々と頭をさげる。
「いえいえ、たまたま落ちた所を見ちゃったから」
あいつはそう言って、それじゃと去っていった。
彼女はもう1度頭を下げてから、学校に向かう。
俺を両手で握りしめて、まるで走るように。
伝わってくるのは、ドキドキという破裂しそうな心臓の音。
「お話しちゃった。どうしよう、お話しちゃったよ」
小さな小さな独り言は、嬉しさと恥ずかしさが混じった音楽みたいだと思った。
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