第2章

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誰かにレイフから世間話を持ちかけるのはかなり珍しい。 「友人がブルレックさんで食事をしているんです」 レイフも、どうしてそんなことを言い出したのか自分でも分からない。 だが、マックスの話をするのは楽しかった。 「彼の誕生日で…」 「そうですか、誕生日を過ごす為の場に選んで頂いて光栄です。年に一度しかありませんからね…」 シムは不思議そうにレイフを見つめていた。 「いいワインがあれば、彼にプレゼントとして持って行きたいと思っているんですが…」 ガスパールは楽しそうに笑った。 「構いませんよ、誕生日のサプライズなら大歓迎です。あ、では店には私から連絡しておきましょう」 「有難うございます」 レイフは少し愛想笑いをした。 最近、愛想笑いもほんの少しならできるようになった。 マックスのおかげだ。 ガスパールが何かひらめいたように、視線を上げた。 「あ、今日…と、言うと、もしかしたらビディさんですか?」 「そうです」 「あぁ、そうですか、、、」 そして言いにくそうに、言葉を選ぶように続けた。 「何て言うか…前社長はお気の毒でした」 「ええ…」 「とても、今日の息子さんの誕生日のことをこだわりを持ってプランを立ててらしたようで…」 ガスパールの、何か思い出したような顔つきにレイフは、それがいい思い出では無いような気がした。 「何かありましたか?」 「あ、いえ、何度も何度も代理の方にお越しいただいて…」 「代理?」 「えぇ、席をどこにするか…とか、どういう景色が見えるか、とか、家具類はどんな感じか…とか、最後には調理場にまで入って来られて…」 レイフは一瞬、今聞いたことが理解できない気がした。 「私どもも、レストランのイベントがある時は、ビディ警備に依頼しておりましたので…全く知らないお客様でもありませんし、快くプランにお付き合い致しました」 ガスパールは、本気かどうか分からない笑みを向けた。
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