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秘書のニールが社長室に入って来た。そして入口近くの自席に座ると、マックスの顔を見た。
「どうした?」
マックスの瞳は潤み、今にも寂しさがこぼれ落ちそうだ。
「あ、いや、」
マックスはため息をついてから笑った。
「ウォーレンが、俺の誕生日にブルレックってレストランを予約していてくれたらしいんだ」
ニールは
「そうか」
と、言いながら手帳を広げた。
彼が感傷に浸ることは一度も無い。
マックスはニールの横顔を見ながら、彼は寂しくないのだろうか…と、そんなことを何となく思った。ニールはウォーレンとの付き合いはとても長いはずだ。少なくともマックスよりは。
「夕方、ヒグネットプロダクションに挨拶に行く予定が入っている」
ニールはチラッとマックスを見た。
マックスは少しむきになった。
「ウォーレンが、用意してくれたんだ。ウォーレンからの誕生日プレゼントなんだ。もう二度と無い」
ニールは黙って、また手帳を見た。
「何で芸能プロダクションなんかに挨拶に行くんだ」
「イベントやパーティーがあると、有名人の警護の依頼がくる。今度年末にまた警備が必要な重要なイベントがあるんだ」
「ニール、違う日にしようよ」
ニールは黙って手帳を睨みつけた。
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