第3章

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 夕方近くになり、長い時間をかけてレイフの容体が少し落ち着いた。 シムが席を立った。 「店を開けなきゃいけない。レイフの店だ…。今まで一度も臨時休業なんかしたことないんだ」 マックスは少し驚いたが、 「うん…」 と、だけ返事をした。 おそらく、それがレイフとシムの関係なのだ。 いや、そうやって、シムがレイフを守っているような気もした。 「あいつが…帰って来た時に、店が傾いていたら困るからな…」 マックスはただ頷いた。 「店が落ち着いたら、また来る…」 シムは数歩行きかけて、振り向いた。 最初は何か言い淀んでいたが、やがてゆっくりと口を開くと 「何かあったら連絡してくれ」 と、言った。 そしてマックスに連絡先を渡すと、疲れたようにトボトボと、病院の廊下を歩いて行った。 マックスはその背中を見つめるしかできなかった。  日が落ちかけてきた頃に、どこでどう調べたのか、ニールが来た。 「様子はどうだ?」 ガラス張りの部屋にしがみつくように立ち尽くし、一点を見つめるマックスの背後から声が聞こえた。 「ニール…頭…大丈夫なのか?」 ニールの頭に巻いた包帯が痛々しい。 「大丈夫だ」 「どうしてここに?」 「レイフのところにいるんじゃないかと…ワイアットが言った…」 「ワイアット?ワイアットがどうして?」 ニールはマックスを無表情に見つめた。だが、その返事も無く、ガラスの向うを何気なく振り向いた。 「帰らないか?」 マックスは首を横に振った。 「そうか…じゃあ、ここで話そう」
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