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ニールは小声で
「何があった」
と、聞いた。
「チェリーとはぐれるまでの話は、チェリーから聞いた。その後だ…」
「…チェリーとはぐれた時、スタッフの制服を着たヤツに、銃を向けられてたんだ。そいつに、裏口に仲間がいるって言われて…フロアーから出ようと思って…戻ったんだ。そこでレイフに会った」
ニールは辺りの様子を伺うように、少し視線を廊下の向うにやった。
誰もいない。
「レイフと二人で、玄関から逃げようとしてたんだけど…レイフが調理場に隠れようって…」
「そこで、レイフはあの死んでいた男に撃たれたのか」
「うん」
マックスは少し間を置いて、頷いた。
「男は首を絞められていた。君が?」
マックスは全力で首を振った。
「違う」
「では、レイフが?」
マックスはもう一度、レイフが男に撃たれた場面を思い出した。
「まさか…レイフは…撃たれてものすごく血が出てた」
「他に誰かあの男をやれそうな人物はいたのか?」
「いや…でも…まさか…」
「君は何故意識を失っていたんだ」
「レイフが撃たれたから…殴ろうとしたら殴られて…それから…覚えてない…」
「その時レイフは生きていたのか?」
「過去形にするなよ!レイフは今でも生きてる!」
マックスは思わず大きな声で怒鳴った。
「悪い…」
ニールは黙った。
「…レイフは、、、生きてる…」
マックスはかみしめるようにそう言った。
「マックス、よく聞いて欲しいんだが…」
マックスは、少し自分を落ち着かせようと、顔に手を当てた。
「…うん…」
「あの男たちは、俺を狙っていた。チェリーから聞いた話では、そうだ…」
「俺のことも狙ってた…。そう言えば…他のお客さんとか…どうだった?誰か…」
「重体は、クロークにいた従業員とレイフだけだ…。後は重傷者が…何人か…」
マックスはうなだれた。みんなが怪我をしたのは自分のせいでもあるような気がした。泣きたい気分だ。同時にとても腹立たしい。
「レイフに何かあったら、今度は俺があいつら探して殺してやる…」
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