第3章

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   数日が過ぎた。 ………どのくらい日が経ったのかわからない。 夢を見ていた。 暗い路地の片隅で、一人で膝を抱えて座り込んでいる。 時々、誰かが殴って行く。蹴られたりもした。 でも、レイフは、そこで母親を待っていた。  街中を探しても母親は見つからない。 そのうち目が見えなくなる。 たくさんの人が行きかう大通りで、一体誰が母親なのか見えなくなっている。 それでも探す 誰かが罵声を浴びせてくる。誰かが冷たい目で自分を見ている。 とにかく、母親を…。  また路地に入る。 暗い。 暗い方が、見えないから、それでいいんだ…。 気づいたら、地面から人の…いや、犬かもしれない…いや、怪獣…の、死骸がモコモコとせせり上がってくる。 レイフはそれを何となく、ただ見つめている。 あたりは血まみれだ。  空が曇っている。 そして、ドラゴンが…レイフを探している。 レイフは母親を見つけたいが、ドラゴンに見つかったら殺される。  意味不明で整然としない夢だ。 気分は最低で、どんよりとしている。  薄暗い路地に何日も何日もドラゴンから身を隠し、それでも何かを探したいと思っていた。 何を探したいと思っていたのか、だんだんわからなくなってきた。 曇った空に星が一つ光っている。とても強い、綺麗な光だ。 レイフはそれが怖かった。 ドラゴンよりも、その星が、とても怖い。  その星の強い光を遮るような緩い光を感じた。 レイフは少し目が見えるようになった。 薄っすらと、目が、見える。 優しい光だ。 「レイフ?」 誰の声だろう。知らない人の声だ。 この人は母親の居場所を知っているのだろうか…。 「レイフ?」 少しづつ、見えるようになってきた。 本当にほんのりと…。 とても綺麗な男の人だ。 子供の頃絵本で見た、妖精のようだ。 薄いブラウンの髪が無造作に、美しく流れている。瞳はまるで子供のように無垢だ。 この人がまとっているオーラは、きっとあの柔らかな光に似ているのだろう。 「レイフ!」 今まで、殴られていたレイフの頬に、その人はキスをしてくれた。
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