第3章

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 マックスは、ナースコールを何度も押した。 「レイフ!」 看護士が走ってやってきた。 「レイフが今、目を開けたんだ。一瞬!」 マックスは心臓がドキドキした。 「目を開けたんだ!目を開けた!レイフ!」  マックスは、レイフのそばにずっといた。 容体は落ち着いたということだが、それでも、一度目を開いてから何日過ぎても意識が戻ることは無かった。 シムは毎日来たが、昼過ぎになると店を開ける為に病室を後にした。 マックスは、シムを人としてとても好きになった。頼りになるレイフの家族のようだ。とても真面目で、誠実で、レイフのことをものすごく考えている。  マックスは、ベッド脇に座って、レイフの顔を見つめた。 顔色が悪い。 寝息すら聞こえない。 心配になって時々鼻に手を当ててみた。息はしているようだ。 手を握り締めた。 「血の匂いが取れない」と、言って、以前触らせてもらえなかったことがある。 そうなのかもしれない…。 この手で、もしかしたらあの殺し屋の男の首を絞めたのかもしれない…。 ニュースでは男が死んだ理由を「仲間割れか」と言っていた。 誰も、撃たれて瀕死の客が男の首を絞めた、などとは想像できない。 レイフは「客の一人」と報道されていた。調理場に逃げ込んで撃たれた…と、記事にはあった。 その報道を裏付けるように、ブルレックがレイフのことを「お客様です」とインタビューで断言したのだ。 何故そういう発言になったのかわからなかったが、マックスは少しほっとした。 ブルレックが「何故そこにいたのかわからない」と言ってしまえば、疑惑の人になったのだろう。 クロークにいた重体の従業員も、命は取りとめたようだった。
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