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マックスは、ナースコールを何度も押した。
「レイフ!」
看護士が走ってやってきた。
「レイフが今、目を開けたんだ。一瞬!」
マックスは心臓がドキドキした。
「目を開けたんだ!目を開けた!レイフ!」
マックスは、レイフのそばにずっといた。
容体は落ち着いたということだが、それでも、一度目を開いてから何日過ぎても意識が戻ることは無かった。
シムは毎日来たが、昼過ぎになると店を開ける為に病室を後にした。
マックスは、シムを人としてとても好きになった。頼りになるレイフの家族のようだ。とても真面目で、誠実で、レイフのことをものすごく考えている。
マックスは、ベッド脇に座って、レイフの顔を見つめた。
顔色が悪い。
寝息すら聞こえない。
心配になって時々鼻に手を当ててみた。息はしているようだ。
手を握り締めた。
「血の匂いが取れない」と、言って、以前触らせてもらえなかったことがある。
そうなのかもしれない…。
この手で、もしかしたらあの殺し屋の男の首を絞めたのかもしれない…。
ニュースでは男が死んだ理由を「仲間割れか」と言っていた。
誰も、撃たれて瀕死の客が男の首を絞めた、などとは想像できない。
レイフは「客の一人」と報道されていた。調理場に逃げ込んで撃たれた…と、記事にはあった。
その報道を裏付けるように、ブルレックがレイフのことを「お客様です」とインタビューで断言したのだ。
何故そういう発言になったのかわからなかったが、マックスは少しほっとした。
ブルレックが「何故そこにいたのかわからない」と言ってしまえば、疑惑の人になったのだろう。
クロークにいた重体の従業員も、命は取りとめたようだった。
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