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また夜が来た。
真っ暗だ。足元を照らす月明かりさえない。なのに、強く光る星が天で大きく輝いている。
やがて、朝の光が緩やかにレイフに届く。
この繰り返しだ。
真っ暗な闇と強い光の世界と、柔らかい光の世界が、レイフの周りに交互にやってくる。
誰かの指が、髪に触れた気がした。
母親なのか…、やっと見つけたのか…
「ママ…」
と、言いたいが声が出ない。
でも、自分が探していたのは、本当に母親だったのだろうか…。
光が瞳に薄っすらと、差し込んでくる。
レイフはしばらく、白い世界をぼんやりと見ていた。
と、次の瞬間、目の前に突然、顔が現れた。
「レイフ!」
また、あの絵本の人だ…、、、
いや、
………
マックスだ。
………
マックスだ………
頭がぼんやりとしている。
今どういう状況なのかわからないが、レイフは何だか少し安堵した。
「レイフ!レイフ!レイフ!」
マックスはレイフの顔中にキスをした。
「レイフ!」
レイフの頬を涙が伝った。マックスの涙だ。
「レイフ、愛してる、愛してる、愛してる!」
マックスが「愛してる」と言っている…。
不意に…レイフの唇が全ての想いをかたどった。
「俺も…愛してる…」
朦朧とした意識の中で、マックスがそういう意味で言ったわけでは無いとわかっていた。
「え?何?」
マックスがレイフに近付く。
「何?レイフ?」
伝わらなくていい、いや、伝わらない方がいいのだ。
ただ、言いたかった。本当は、ずっとそれを言いたかったのだ。
レイフの愛情が生み出したその言葉が、レイフの中の何かを変えた気がした。
「何か言った?」
マックスは更にレイフに耳を近づけた。
マックスの髪に隠れた、金色の小さな花が…ぼんやりと瞳に映った。
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