第1章

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最近、よくそのことを考えていた。 プレゼントは何がいいだろう…。 その日、少しでもいいから一緒にいる時間を持ちたい…。 「ハッピーバースディ」の言葉を、マックスはどんな表情で受け止めてくれるのだろう。 考えれば考えるほど、今まで経験したことも無いほど胸が熱くなった。誰かの『誕生日』がこんなにも幸せをくれる、そんなことを今まで知らずに生きてきたのだ。 だが、色々想像はするが、いつも思考は決まった最終結論を出して終わる。 マックスの特別な日だからこそ、自分はそこにいてはいけない気がする…。 「レイフ、30日、俺の誕生日なんだ」 「ああ、」 思いとは裏腹に、口から出る言葉は素っ気ない。 ワザとではない。 「ウォーレンが、フレンチレストランの予約を入れてくれてたんだ。ブルレックって有名なレストランなんだって。…ウォーレンはいないけど…」 寂しそうにマックスはそう言うと、笑った。 「でも行きたいんだ…」 レイフは黙ってマックスの表情を見つめた。 ウォーレンの話をする時のマックスは、とても色っぽい。きっと彼のことを思い出すとそんな顔になるのだ。 「そうか、」 「一緒に行かないか?」 ウォーレンの思い出話でもしようと言うのだろうか。 レイフは、ウォーレンを殺そうとしたのだ。とてもその状況で一緒に食事をする気分にはなれない。 それに、マックスの口からウォーレンの名前が出るたびに、レイフは我に返った。自分は、本当ならマックスの側にいるはずの無い汚れた人間なのだ。今まで何人もの人間を殺してきた。マックスのそばにいてはいけない理由にしては十分過ぎる。 だが、頭では分かっていても心は離れられない。 「あ、いや…仕事が…」 マックスはレイフをじっと見つめたまま、小さく 「そうか…」 と言っただけだった。 きっと、レイフが行くと思っていたに違いない。 「悪い…」 「いいよ、」 マックスは微笑んで、鍋に、指を突っ込んだ。 「あっつ!」 マックスは時々、天然だ。 レイフは咄嗟にマックスの手を取った。
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