第2章

2/25
前へ
/42ページ
次へ
 マックスは、ブルレックにチェリーと、そしてニールを連れて行った。 ニールが支払いを会社持ちにしてくれたので、一番適当な人選だろう。  内装は地中海を意識したのか、所々に丸い大きな柱があり、ツタを絡ませてあった。 レンガの壁に埋め込まれた大きな壁画は女神像だ。 3人が通された席は、大きな玄関を入ってバーの前を通り過ぎ、整然と並べられた純白のテーブルクロスを横目に、石の階段を数段上がった奥まったところにあった。 一番奥の大きなガラス窓からは、街の景色がレースのカーテン越しに見渡せる。 半個室状態で、隣の席との間にスリガラスのパーテーションが立ててあった。 が、広い。 「すごいわね」 ニコニコしながら、チェリーはキョロキョロとしていた。 「すごいわ」 それしか言葉が出て来ないようだ。 彼女はとてもしぐさが可愛い。 マックスは、周りを見回しているうちに、ウォーレンと来たかったという思いがわいてきた。 この席に座ってウォーレンと一体どんな会話ができたのだろう。 そう想像すると、とても寂しい気分にもなった。  座ってすぐに、注文もしていないのにスパークリングワインが来た。 「これは?」 マックスがウエイターに聞くと、 「ご予約いただいた時に、ご注文されたマンゴースパークリングワインでございます。特別に取りよせました」 ウエイターは笑って、 「すぐにアミューズをお持ちいたします」 と、去って行った。 チェリーがグラスを取った。 「マックス、誕生日おめでとう」 「有難う」 乾杯の後の一口で、マックスは涙がこみ上げてきた。 美味しい。甘くて、大好きな味だ。 ウォーレンはマックスの為にこれを用意していてくれたのだ。 「どうしたの?」 チェリーが気づいてマックスを気遣った。 「あ、いや…、ごめん…、これ…ウォーレン、きっと飲まなかっただろうな…甘くて…」 笑ったマックスの瞳から、一筋の涙がこぼれ落ちた。 ニールは黙ってマックスを見つめていた。
/42ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加