傷ついた天使

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ある日天使を見つけました。 世の流れにもがき、苦しみ傷を負った天使は 羽が汚され飛べなくなってしまいました。 どうしてこんな目にあわなきゃいけないの? そんな愚痴一つこぼさずに天使は言いました。 『仕方ないんだよ』 誰よりも優しく美しい心を持つ天使は 誰を恨むでもなく自分が悪いと言いました。 そうじゃない、君が悪いわけじゃないよ 天使は今も沼の中で どうしようもなく もがいている。 俺は助ける事もできずに ただ見ていた。 助けたい。守ってあげたい。 いつか君の羽が美しい色を取り戻すまで そう思っても 無力の俺は 何もしてあげられない。 回りの人達には天使の姿が見えないのか…? なんで一番近くにいる人すら必死にもがき、苦しんでいる天使に目もあてず放っておけるのか 僕にはわからない。 手の届かない僕は…必死に天使に声をかける。 今に必ず助かる。 希望を捨てないで。 けれど 俺は助けることが…できない。 どうしようもない自分への怒りと 天使の近くの人達への怒りが 俺の中に込み上げる。 俺には…どうすることもできないんだろうか。 悩み考える俺に天使はにっこり笑いながらいいました。 ありがとう。 大丈夫だから ただ…ちょっと辛いだけ… 我慢していれば痛くない。 それに羽がたとえ治ったとしても 行くところなんてもうないから だから…いいの。 天使の言葉に 納得出来ない自分がいた けれど無力な俺は 何も言うことも出来ず 頷くしかなかった。 せめて 手当てくらいは 俺がしてあげたいと 天使に伝えた。 羽がまた美しい色を取り戻すか また飛べるようになるか わからないけど 今は俺が助けてあげたい 傷ついた天使が いつかまた 美しい羽を取り戻し 強く、美しく飛べるようになるその日まで どうか負けずに生きてください。
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