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あの海と空はずっと定規で描かれたように平行線のまま、大輝の知らない土地まで続いていて、混じり合うなんてことはない。
水平線の向こうもここと変わらない景色が続いていることを、知ってしまった。
大輝は投げやりにカンバスを防波堤の上に放り出した。
俺が不登校になった理由?
同じ理由なのか?
何度目かの溜息が漏れる。
学校へ行かなくなった理由‥‥?
わからない。
進学校で優等生をやっていく自信がなくなったから?
高1から高2へと変わる間にある春休みでダレてしまい、学校へ行くのが面倒になったから?
母子家庭で資金的に大学へ行くことに悩んでいるから?
友達から「いい奴」と言われることにも疲れているから?
なんとだって言える。けれども、全部、嘘っぽい。
理由を思い浮かべる度に、そしてそれが多いほど、本来の形からどんどん外れていき、結局、「言い訳」に変化して行く気がしてうんざりした。
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