1 何故?

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 あの海と空はずっと定規で描かれたように平行線のまま、大輝の知らない土地まで続いていて、混じり合うなんてことはない。  水平線の向こうもここと変わらない景色が続いていることを、知ってしまった。    大輝は投げやりにカンバスを防波堤の上に放り出した。  俺が不登校になった理由?  同じ理由なのか?  何度目かの溜息が漏れる。  学校へ行かなくなった理由‥‥?  わからない。  進学校で優等生をやっていく自信がなくなったから?  高1から高2へと変わる間にある春休みでダレてしまい、学校へ行くのが面倒になったから?  母子家庭で資金的に大学へ行くことに悩んでいるから?  友達から「いい奴」と言われることにも疲れているから?  なんとだって言える。けれども、全部、嘘っぽい。  理由を思い浮かべる度に、そしてそれが多いほど、本来の形からどんどん外れていき、結局、「言い訳」に変化して行く気がしてうんざりした。
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