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とある山奥に仙人がいた。この仙人、自分の欲に忠実で、千里鏡という千里離れた先をも見通す不思議な虫眼鏡で、遠くに住む若い女性を覗き見る事を日課とし、日々の楽しみとしていた。
「ほほほ、若い女性はいいのぅ…。やはり覗き見はやめられん」
覗きの最中はいつもこんな具合。本当に救いようがなく、どうしようもない…。
その日も、楽しみである覗きに精を出していた仙人は、お気に入りの娘を千里鏡で覗いた。しかし、娘はどこにも見当たらない。
「おかしい、あの娘はどこに行った」
再び探すが、とうとう娘を見つける事は出来なかった。
仙人の住む山から千一里先に引っ越していた娘が言った。
「引っ越してから、変な視線を感じなくなったわ。不思議ね」
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